2011年4月30日土曜日

通勤途中の風景⑦「新橋オヤジの引退と2代目新橋オヤジ」

通勤途中の風景①で話した、新橋おやじ。
その後、俺達は絶妙のコンビネーションで朝の席取りを楽しんでいたわけだが、ある日、ぷっつりと現れなくなった。
体でも悪くしたんだろうかと心配していたが、ある時、平服で渋谷に降り立った元気そうな彼を見た。そのとき、オイラは悟った。

新橋オヤジ、引退したんだ。。。。

そう、新橋オヤジは60歳前後。多分、会社をご卒業になられたんだと勝手に想像した。オイラは平服姿で歩く新橋オヤジに軽く「がんばれよオヤジ、そしてありがとうな。」と心のなかで、その通勤人生の先輩に最敬礼を送った。

オイラは、新橋オヤジの座っていた席に座ることにした。そして、わかった。「そうか!この席って、朝の相模川からの海がよく見えるんだ!」
相模川を渡るとき、新橋オヤジの席から朝日に光る相模灘が見えるのだ。新橋オヤジは多分これも知っていたのだ。オイラは新橋オヤジがまた好きになった。


新橋オヤジがいなくなって、数週間、また、いつものようにオイラは始発電車のドアの前に並んでいた。ドアが開いて、若干、優雅な動きになったオイラは、新橋オヤジから引き継いだ伝統の席に座る。

そして気づいた。

オイラの後方で、席取り新参者がバタバタと争っているのを。そして更に気づいた。オイラの動きに合わせて、賢く席を確保するやつもいることを。

そうである。オイラが「2代目新橋オヤジ」になっていたのである!知らず知らずのうちにである。多分、オイラは後方の若者の間では「〇〇オヤジ」とか呼ばれているのかもしれなかった。

オイラはスコーしプラウドな気持ちになったよ。

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