2012年2月14日火曜日

新書で名著をモノにする 平家物語 (光文社新書) [新書] 長山 靖生 (著)を読んでみた。

平家物語は無常と普遍、栄光と没落を学ぶ最高のテキストだと著者さんは言う。

大震災前から、現在の世の中は、もはや乱世を超えて末世の様相を呈していると著者さんは言う。国土は疲弊し、庶民の生活は逼迫しつつあると。

さらに著者さんは、以下のような分析をなさる。
朝令暮改をくり返す為政者たち(政府)、批判するだけで何もしない貴族たち(野党)、
騒ぎ立てるだけで仕事をしない寺院勢力(学者・マスメディア)...etc.
確かに、どう考えても、現代という末世は、幕末維新ではなく、平家物語の時代に似ているよね。

著者さんは、歯医者さんらしいですけど、なかなか興味深い分析でした。

さらにさらに、戦うは男ばかりとは限らず、女たちもまた、それぞれの戦いを生きているという。OLも女学者もキャバ嬢も、千年前からいたのだと。

確かに平家物語関連の新書を読んでいると、そんなことがおぼろげながらわかりますねぇ。オイラみたいな歴史音痴にも、楽しく読める本でした。

おすすめ度は5点中、3点。



◎目 次
はじめに 「現在」はいつも乱世
第1章 平清盛は悪人か
第2章 貴族という「官僚システム」の腐敗、平家の変質
第3章 院----「代行」という無責任な権力者たち
第4章 山門・南都寺院という火種----わがままな「知識」と「大衆」
第5章 戦う男を駆り立てるもの
第6章 女たちの物語
終章 「歴史」「物語」の使い方

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